各種催事

パッケージデザイン懇話会

2026年度 開催予定

例 会 第175回
講演会
第176回
講演会
第177回
講演会
第178回
講演会
日 程

時 間
6月11日
(木)
15:00~17:30
8月31日
(月)
15:00~17:30
11月30日
(月)
15:00~17:30
2027年
2月24日
(水)
15:00~17:30

今年度も昨年度に引き続き、基本として包装技術協会会議室での対面とオンラインでのハイブリッド開催を予定しております。

※交流懇親会の開催方法につきましては懇話会ニュースでお知らせいたします。

※日程及び時間は変更する場合があります。

2025年度 実績

第171回 講演会
2025年 5月19日(月) 15:00~17:30

信藤 洋二 氏

テーマ:持続可能な社会の、美と心のデザイン

講師:信藤 洋二 氏/資生堂クリエイティブ株式会社シニアクリエイティブ
ディレクター、(公社)日本パッケージデザイン協会理事長

参加者数:42名

講演概要:

 資生堂クリエイティブが開催した初の展覧会「美を疑え」のお話を中心に、資生堂クリエイティブの新たな挑戦やそれら背景について、資生堂におけるデザインの歴史や受け継がれる精神等も交えながらお話いただいた。講演後半では、日本パッケージデザイン大賞2025の受賞作を例に、持続可能な社会に求められる、「心にとどくデザイン」の可能性や、パッケージデザインにおける「美」の在り方についてお話いただいた。

1.資生堂デザインの歴史と資生堂クリエイティブ株式会社の設立

 資生堂のクリエイティブ部門は、1916年に設置された意匠部に端を発する。その当時は、西洋からアール・ヌーヴォーやアール・デコの様式を日本にいち早く取り入れ、それらを基調としたデザインにより、「資生堂スタイル」を確立していった。その後も時代の変化に応じたデザインを作り上げていくことで、資生堂のデザインは日本の美容文化と共に歩んできた。2022年1月にクリエイティブ部門を分社化し、資生堂クリエイティブを設立。「あらゆるものに美を見出し、新たな美を生み出すクリエイティブコレクティブ」というビジョンのもと、新たな美の航海を始めた。

講演概要

2.生活に必要なものこそ美しくあるべき

 ウィリアム・モリス氏が大量生産・大量消費の時代に主張した、「生活に必要なものこそ美しくあるべき」という考え方は資生堂デザインの原点のようなものである。西洋留学時、異国の文化に触れた創業者の福原有信氏。彼自身が求めたものは正にこの考え方だったのではないか。資生堂の最初のデザインは化粧品「オイデルミン」であり、初めてにして最高傑作のものである。

3.BEAUTIFUL IMPACT

 資生堂クリエイティブでは、「美」を中心としながらも社会にとってより影響力のあるものにしていきたいとの思いから、「BEAUTIFUL IMPACT」という新たなバリューを昨年打ち出した。本講演ではその具体的なアウトプットである、①新橋演舞場の緞帳「舞」と②展覧会「美を疑え-資生堂クリエイティブ展-」を紹介いただいた。①の緞帳はこの5月に新たに設置されており、以前の緞帳のデザインについても30年前に信藤氏自身が担当。本プロジェクトに対する熱い思いを語っていただいた。今回の「舞」は、歌舞伎役者の実際の動きをもとにして作られた立体感のあるデザインとなっている。ご興味のある方はぜひ会場に足を運んでご覧になってはいかがでしょうか。

4.「美を疑え-資生堂クリエイティブ展-」の開催

 本展覧会は、「BEAUTIFUL IMPACT」にあるキーワードを今後のクリエイションの中で実現していくために、これまで資生堂が作り上げてきた美意識自体も含めた、「美」というものを改めて疑い、次の世代に影響力を与え得るヒントを見出すことを目指し開催されたものである。本講演では、①普段当たり前に見えている色の世界を疑い、異なる色覚を持った人達にとって新たな「美」の世界があるのではという発想のもと、色覚多様性の方と一緒に色を作り出すことを行ったプロジェクトや、②大人の化粧品に子どもが興味を持つことは今の社会にとってマイナスと思われていることを疑い、その興味によって美を目覚めさせるプラスの効果もあるのではないかという発想のもと開発された、化粧品のように描けるクレヨン等、実際に展示された10作品の一部を紹介いただいた。これらプロジェクトを通して下図のような美の相関図を作り上げ、それぞれの美の在り方(要素)が影響し合うことで新たな価値が生まれていることを改めて見出した。

講演概要

5.持続可能性

 サステナビリティの実現において、パッケージ等プロダクトのみで達成しようとする考えだけでは不十分であり、ブランドの価値を全体的に繋いでいく中で持続可能性を見出していく必要がある。具体的には、ブランドが継続することで社会に対してどのようなインパクトを与えられるのか、製品を成す資材が社会の中で循環し続けられるシステムとなっているか等も含めて考えていく必要がある。これらの点に着目して開発されたのが、2020年に発売された「BAUM」である。

6.日本らしさとパッケージデザインの潮流 ~心にとどくパッケージデザイン~

 信藤氏は(公社)日本パッケージデザイン協会の理事長就任時、「心にとどくパッケージデザイン」という活動テーマを掲げている。優れた日本の伝統パッケージは、身近な材料から作られていること(サステナビリティ)に加え、心に訴えかける美しさや工芸性を持つ。「心」の時代と言われる現代、技術は明らかに進化している一方で、「心」に対するメッセージを現代パッケージは持っているのかという思いから、上記テーマを掲げられた。本講演では、日本パッケージデザイン大賞2025の受賞作を例に、独自の視点から「心にとどくパッケージデザイン」の事例を紹介いただいた。

 包摂の「摂」は、旧字で「攝」と書く。パッケージデザインのインクルージョンとは、様々な声に耳を傾けることであり、それこそが心にとどくパッケージデザインを生み出すことに欠かせない姿勢である。包装は、持続可能な社会の、美と心のデザインである。

最後に:

 環境意識の高まりからこれまで以上にパッケージが脚光を浴びている昨今、生活者に届けるべきパッケージとは何かということを改めて認識する機会となりました。お使いいただく方の心にとどく、そんなパッケージの開発を目指し、日々精進して参りたいと思います。信藤様をはじめ、本懇話会にご参加いただいた皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

(ライオン株式会社 山内 陽介)

第172回 講演会
2025年 8月29日(金)15:00~17:30
ハウス食品株式会社 楠本 明日香 氏 / スパイスバリューチェーン チャネルクリエイト事業部 丸子 絵里奈 氏 / 食品事業本部 事業戦略企画部

テーマ:料理とスパイスの楽しさを子どもたちに伝えたい。~商品と体験を通じて~

講師:ハウス食品株式会社 楠本 明日香 氏 / スパイスバリューチェーン チャネルクリエイト事業部
丸子 絵里奈 氏 / 食品事業本部 事業戦略企画部

参加者数:30名

講演概要:

 今回の懇話会では、前半に楠本氏よりスパイス付き絵本の開発に至った想いや、新規系の商品開発で苦労して発売に到達した舞台裏をお話しいただいた。また、後半では丸子氏より、本商品を活用した、実際にスパイスに触れて親子で作る体験イベントの紹介と、そのイベントを通して、商品やブランドの世界感を伝えることが、お客様にとってのブランドとの心地よい出会いにつながるという事例をご説明いただいた。

1.はじめに

 ハウス食品の企業理念は食を通じて、家庭の幸せに役立つこと。つまり、同社の原点は家庭。家庭での食を通じた体験で豊かな心になってほしいという思いがある。そのような理念の下、スパイス付き絵本は、小学校低学年の子どもが親子一緒の料理体験(食育体験)ができる絵本として開発された。本商品は、「カレー・スパイスにまつわる絵本」とその物語に登場するカレーが作れる「スパイス」をセットにしたもの。ハウス食品の事業の中で、カレー・シチュー・スパイスカテゴリーとは違う新規系のグループで開発してきた。なお、新規系の販路はEC限定とのこと。

2.ハウス食品がなぜ絵本?-プロジェクトの経緯-

 2016年春、取締役直轄の新規事業プロジェクトチームが発足し、2017年夏から外部コンサルタントを交えた共創取り組みを実施。その後、約1年の中断期間を経たが2019年春より夏休み向け企画として本格的に製品開発をスタートした。外部コンサルタントを交えた共創取り組みフェーズでは、コンサルタントとの取り組みから生まれたアイデアを原点とし、プロトタイピングによる検証を経て、リーンスタート(テスト販売)を実施という手法をとった。

 「スパイスとの新しい出会い方を提供する」を開発コンセプトに共創から生まれたアイデアを具現化すべく開発に取り組んだ。この取り組みの中で、スパイスのエクストリームなユーザー(マニアックな使い方をする方)に実際に会いに行くなど、精力的な活動でスパイス付き絵本のプロトタイプである「スパイス教育キット」を作り、EC限定でテスト販売できた。しかしアンケートの回答はなく、お客様の反応は確認できなかった。そこで社内で子供のいる社員にヒヤリングした結果、親子でカレーを作るという体験価値は確認できた一方で、絵本としてのクオリティーも求められることがわかった

3.テスト販売を踏まえ、本格販売へ

 本格販売へ向けて新たな課題を設定、子供の「食」を取り巻く問題(欠食、個食等)解決の一助となり、将来の「生きる力」にもつながる「食育力」向上を目指すこととした。現状の問題は、子供の食べることへの興味・関心が薄れてきていることと捉え、理想は 食べる力=生きる力 を持つ子供が増えること(食育)と考えた。
 そこで、課題設定として、

・子供が自主的に関与したくなる食育機会を創出する
・親子の記憶に残る楽しかった思い出を創出する とした。
 課題へのアプローチには、独自の工夫点を加え、子供になじみの深い「絵本」という媒体を使い、国民食でもあるカレーをテーマに、これまでにない(絵本でもレシピ本でも図鑑でもない)食育体験本を実現。絵本のストーリーは、絵本作家と一緒に作り上げた冒険仕立ての物語とし、子供が主役となって作れる簡単なレシピを作り料理体験を提供した。
 つまり、子どもが絵本を読んだ時のワクワク感、高揚感がそのまま料理体験につながる仕掛けを作った。本商品は、子供がワクワク感に出会えたことで、親も感動して高評価をもらい、キッズデザイン賞を受賞するまでの反響が得られた。

4.子供たちに広げるために

 スパイス付き絵本の魅力は、公式オンラインショップで丁寧に紹介して販売しているが、なかなか思うような実績が上がらなかった。そこで、まずは自分自身がファンになるために、自分の子供と一緒に試してみて、子供がどんなことに興味を持つのかを体感した。また実際にお客様との対話でヒントを得、商品自体は、体験していただければ、絶対に良いと思ってもらえる自信を深めた。そこで、絵本の体験機会を創出するイベントの開催を考えた。
 イベントの考え方として、ハウス食品のやりたいことは、スパイスを身近に感じる体験を通して、子どもにとっての食の楽しさと可能性を広げ、選択肢を増やすこと。一方、お客様のインサイトとして、子どもに長期休みの思い出を作ってあげたいが、仕事で忙しく考えている時間がないなどのもやもやを感じていることがわかった。そのため、子どもの長期休みに絵本の体験食育イベントとして開催することとした。2024年からママ友の勤務先(ケアプラザ)でのイベントを開始し、徐々に広げてきた。イベントでは、子どもが興味を持てるような仕掛け作りを意識している。

講演概要

最後に:

 今回の懇話会を通して、講演いただいた両氏の「子供が大きくなった時の食事の選択肢を増やしてあげたい」という強い思いが印象的であった。また、本商品のような世の中をよくするような取り組みは、事業化も大切だが、広報やCSR的な活動という位置付けで社内にアピール(インナーマーケティング)しているとのこと。私自身、仕事でもこのような強い思いをもって周囲を巻き込むことができているか、日頃の取り組み姿勢についても考えさせられる機会となった。

(アサヒビール株式会社 宮下 裕介)

第173回 講演会
2025年 11月25日(火) 15:00~17:30
細田 将己 氏 株式会社榮太樓總本鋪 代表取締役社長

テーマ:榮太樓總本鋪 受け継がれる大切なこと

講師:細田 将己 氏 / 株式会社榮太樓總本鋪 代表取締役社長

参加者数:40名

講演概要:

 東京日本橋で生まれ、創業より200有余年、「榮太樓飴」「金鍔」などの江戸を代表するお菓子を作り続けている榮太樓總本鋪(以下榮太樓)。榮太樓は様々な社会環境の変化にどう対応し、味を繋いできたのか、令和の時代に伝統的な菓子屋をどのように変革し続けていくのかなど、これまでの歴史と今後のチャレンジについて、お話いただいた。

講演概要

1.榮太樓の歴史

▶ 1818年創業。初代が屋台で販売する「金鍔」が大人気になり、1857年日本橋に店舗を開業。その後「梅ぼ志飴」「甘名納棟」など、江戸を代表するお菓子を開発・販売。第二次世界大戦で店舗・工場が一旦消失するも、戦後「榮太樓飴」を開発し、東京土産としての地位を確立した。その後、百貨店からスーパー・コンビニ、ショッピングモールへ販路を拡大、コンビニでは「しょうがはちみつのど飴」が売れ筋となっている。

▶ 平成以降「あめやえいたろう」「にほんばしえいたろう」「東京ぴーせん」「からだにえいたろう」など、特徴のある自社ブランドや他社とのコラボレーション商品を展開。お客さまが「和菓子」に触れる機会を増やすことを常に意識している。
♢「あめやえいたろう」…コスメや宝石のような革新的な飴(左写真)を販売。店舗もお洒落な世界観。
♢「にほんばしえいたろう」…雑貨と和菓子がテーマ。ショッピングモール向け。小袋に入ったワンプライス和菓子をラックから選んで購入できる。
♢「東京ピーセン」…お米スナック/あげおかきブランド。新たな東京土産として展開。
♢「からだにえいたろう」…糖質・カロリーを抑えた「からだにやさしい」和菓子を販売。直近では高齢者でも安心して楽しめる、水あめ風の「とろみののど飴」などを開発。
♢アフタヌーンティー、スターバックスとのコラボレーション飴、ディズニーやアニメキャラクターなどIPとのコラボレーション和菓子なども販売。

▶ これからは世界にも和菓子を広げていく。アメリカのAmazon USでプライム商品として榮太樓飴、羊羹などを販売中。カルフォルニアに在庫を置いて本格販売。

2.おいしいものを作るこだわり

▶ 榮太樓の飴は「無香料、無着色」にこだわりあり。

▶ もち米、小豆、フルーツなどその他の和菓子材料も、日頃から付き合いのある農家から毎年仕入れ。顔の見える生産者とのつながりを特に大事にし、材料にこだわったおいしい和菓子を作っている。

▶ 玉川高島屋とコラボしたサステナブルな取り組み紹介あり。同店で出る食品ごみからバイオマス発電し、残渣を肥料化、自社管理の田んぼで使い稲を育てている。田植え、稲刈りには社員一同で農作業を実際に体験。(下写真)

講演概要

3.榮太樓として大事にしていること

▶ 「梅ぼ志飴」「金鍔」の伝統的な製法など『守るべきもの』は守りつつ、時代に合わせた販売チャネル、お客さまへの提案スタイルなどは変幻自在に『変えるべきもの』。和菓子屋らしいことはやらず、人がやらないことに今後も積極的にチャレンジしていく。

▶ 地元/日本橋のためにこれまでも、これからも尽力する。(「空を取り戻した日本橋」の紹介あり。)

▶ 「経営は預りもの」。歴史を次世代につないでいく!!

講演概要

《講演を伺って》

▶ 老舗の歴史、伝統にあぐらをかくことなく、榮太樓が常に新しい取り組みを幅広く展開されていることに感銘した。その先頭に立つ細田氏の、行動力と周囲の巻き込み力、思いの強さは本講演を聞くだけでも十分に伺い知ることができた。私自身、日頃このような強い思いをもって業務に取り組めているのか、自身の姿勢についても改めて考えさせられた。

(株式会社一九堂印刷所 真山 健)

第174回 講演会
2026年 2月25日(水) 15:00~17:30
向坂 文宏 氏 / 桜美林大学芸術文化学群准教授

テーマ:『買い場』で購買を促進する、最新POP広告トレンド

講師:向坂 文宏 氏 / 桜美林大学芸術文化学群准教授

参加者数:46名

講演概要:

 POP広告は売り場の装飾ではなく、売り方そのものを提案するメディアと捉えて、約20年にわたり店頭マーケティングの実務に携わり、現在は研究・教育の立場からPOP広告を研究する向坂氏より、豊冨な実例と市場データをもとにPOP広告の本質的な役割、リアル店舗とネット通販の関係性の変化、そしてこれからの売り場に求められる視点について講演いただきました。

1. 評価されるPOP広告の考え方

 POP広告はデザイン性や仕掛けの新しさのみで評価されるものではなく、その売り場でどのように商品を売るかという「売り方の提案」が込められているかが重要と考えている。特に実際の売り場で長期間使用されているPOP広告には、以下が共通している。
• 買い物客にとって意昧のある体験価値がある点
• 店舗・メーカー・生活者の三者にとって有益な関係を生み出している点
• リアル店舗の強み(体験・五感・対話)を理解している点

2. ロングラン事例に見るPOP広告の力

 コカ・コーラの子ども向け自販機型什器、カゴメの野菜摂取量測定「ベジチェック」、保険代理店に設置された乳がん触診モデルなど、長期間活用されている事例が紹介された。これらはいずれも商品の直接的な訴求にとどまらず、体験を通じて行動や意識の変化を促す点に特徴がある。

3. 売り場を構成する3つの情報

 売り場は三要素が重なり合って構成されている。
①商品そのもの(パッケージ)の情報、②小売側の売り場づくり(VMD)、③メーカーによるプロモーション(POP広告)
しかし現状は、この3つが分断されたまま売り場が構成されるケースが少なくない。その中でPOP広告は分断をつなぐ接点としてパッケージ情報と売り場体験を橋渡しする役割が期待される。

4. 市場データから見るリアル店舗の現在地

 物販系のEC化率は約1割弱にとどまり商品カテゴリーごとに見るとネットで購入されやすい商品とリアル店舗での購買が重視される商品とが明確に分かれつつある。また、ショールーミングやウェブルーミングといった行動が一般化しオンラインとオフラインを行き来する購買行動が当たり前になっている。重要なのは、こうした状況を「ネットvsリアル」という対立で捉えるのではなく、OMOを前提にリアル店舗が果たすべき役割を再定義すること。

5. 購買行動から見るPOP広告の役割

 購買行動は「認識」「体験」「購買」の三つのフェーズに整理できる。
• 認識フェーズ:気づいてもらう → 色の塊、動き、光、香りなど五感への訴求
• 体験フェーズ:触って確かめる → サイズ・重さ・質感・香りの体験
• 購買フェーズ:比較・納得・後押し → ラインナップ比較、ランキング、専門家推奨
 POP広告はそれぞれの段階で役割を持っている。特に体験フェーズにおいては触れる・確かめるといったリアル店舗ならではの価値が重要になり、サイズ感や重さ・香りなどを体験できる仕組みは購入時の納得感を高める有効な手段である。

6. 売り場における「自分ごと化」メッセージ

 売り場で響くメッセージとは商品のスペックを説明したものではなく、買い物客のその時の状況や気持ちに寄り添う言葉。事前アンケートと購買直後のヒアリングでは購入理由が大きく異なることが多く、「入口に積んであった」「POPに書いてあった」といった売り場要因が意思決定に強く影響するケースも少なくなかった。消費者(Consumer)ではなく、買い物客(Shopper)の視点に立ち、生活文脈や感情に結びついた情報へと翻訳することが重要。

7. これからの売り場とPOP広告

 今後のキーワードとして、以下の3点が挙げられた。
リアル店舗は「買う場所」から「体験し記憶に残るメディア」へと変化している。
• 買い物を楽しむ体験へと昇華させる「リテールテインメント」
• 店舗を情報発信の場と捉える「リテールメディア」
• 用途の再定義による「推し活」関連売り場

講演概要

《講演を伺って》

 POP広告を、売りつけるための道具としてではなく、買い物客とブランドの関係をつくるコミュニケーション装置として捉える考え方が非常に参考になりました。特に、パッケージ・POP・売り場体験を一体で設計するという考え方は今後のパッケージデザインを考える上でも重要なヒントになると感じました。リアル店舗の価値を改めて見直すきっかけとなる講演でした。

(KISCO株式会社 上田 さわ)

過去開催実績

開催回 開催概要
第159回
2022年
5月20日

農業のブランドデザインとパッケージデザイン

(株)ファームステッド 阿部 岳 氏

第160回
2022年
8月26日

Calbeeの「伝わるパッケージデザイン」の考え方

カルビー(株) 長澤 君枝 氏

第161回
2022年
11月25日

花王の「ESG経営」とインハウスデザイナーのモノづくり

花王(株) 平田 智久 氏

第162回
2023年
2月17日

生活機能の変化を織り込み済みにするデザイン

東京工業大学 工学院機械系 西田 佳史 氏

第163回
2023年
5月26日

AIやデザイン思考でパッケージデザインはどう変わるか

(株)プラグ 代表取締役社長
(公社)日本パッケージデザイン協会理事長 小川 亮 氏

第164回
2023年
8月25日

サステナブルな容器包装への試行錯誤

(株)ロッテ 藤原 普夫 氏、飯田 智晴 氏

第165回
2023年
11月28日

総合容器メーカーのデザイナーからの視点: 大和製罐の”内×外”の取組み

大和製罐(株)坂倉 由希子 氏

第166回
2024年
2月28日

クライアントや印刷加工会社とのセッションから生まれるパッケージデザイン

(株)BULLET 小玉 文 氏

第167回
2024年
5月21日

愛おしい、お菓子とパンの包み

文筆家 甲斐 みのり 氏

第168回
2024年
8月30日

飛ぶ動物と泳ぐ動物の機能的な流体力学デザイン

東京工業大学 工学院機械系 田中 博人 氏

第169回
2024年
11月26日

ビジネス×デザインの「リアル」

日経デザイン編集長 山下 奉仁 氏

第170回
2025年
2月26日

書体とパッケージ。デザインが果たす3つのミッション

(株)モリサワ 阪本 圭太郎 氏、富岡 清美 氏

入会ご希望の方は、ホームページの入会のご案内を印刷し必要事項をご記入の上パッケージデザイン懇話会事務局までメールまたはFAXにてご連絡ください。

※パッケージデザイン懇話会事務局:井出 安彦
(E-メール ide@jpi.or.jp, Tel 03-3543-1189)